〜前編・中編よりのつづきです〜
「精油の抽出所を見せてあげるから、明日またおいで」
昨日yuicaの方に 光栄にもそう言っていただいた私は、緑あふれる『カフェ・リトルオーク』で寛ぐ子どもたちをしばし夫に頼みミニアロマツアーへ。
一向に止む気配のない雨の中 傘をさしながら「お盆の時季にこんなに雨が降るなんて初めてですよ」「やっぱり気候が急変しているのかな」などスタッフの方と話しながら、抽出所へと案内していただきました。
ヴィレッジ内にひっそりと佇む建物。看板もなく、知らなければ気付かずに通り過ぎてしまいそうな所に精油抽出所はありました。
「どうぞ」と迎え入れてくださったのは専務の北川さん。「ちょうど今、(精油が)出てきたところだよ」
本来ならばツアーの期間中だけ一般公開されるこの場所に、特別にそうっと入らせていただきました。
北川さんによると「うちはまだまだ小規模だからね」とのことでしたが、私は目の前にずらりと並ぶ稼働中の抽出機に圧倒され、何度も改良が重ねられているというそれらから目が離せませんでした。
丁寧に手入れされた蒸留機からはシュワシュワと音が聴こえ、その先につながれた小さなガラスの抽出機には、一滴一滴、ゆっくりと樹木の精油が抽出されていました。
穏やかに、でもしっかりと漂ってくるクロモジ(黒文字)の香り。採取した数kgもの原材料から数グラム(数ml)の精油しか製品化できないとの説明に、仕事柄その採油量の希少さを知ってはいたものの、大きなタンクを目の前に気が遠くなる思いでした。
こんなどしゃ降りの雨の日にも(この後、オークヴィレッジのある高山市清見町に避難勧告が出されました)行われる地道な作業があって初めて、良質な国産精油が生み出されていることを知りました。
穏やかに、でもしっかりと漂ってくるクロモジ(黒文字)の香り。採取した数kgもの原材料から数グラム(数ml)の精油しか製品化できないとの説明に、仕事柄その採油量の希少さを知ってはいたものの、大きなタンクを目の前に気が遠くなる思いでした。
こんなどしゃ降りの雨の日にも(この後、オークヴィレッジのある高山市清見町に避難勧告が出されました)行われる地道な作業があって初めて、良質な国産精油が生み出されていることを知りました。
お写真を撮らせていただいてもよいでしょうか…?製造現場の撮影を遠慮がちに尋ねると 「隠すようなものは、何もないから」とご快諾いただきました。
ぽとん、ぽとんと滴り落ちる美しい精油は、ピュアな植物たちのエッセンス。それはまるで、春のあたたかな陽射しが溶かす雪解け水のようにキラキラと輝いていました。
自然のあるがままを受け入れ、採り入れ、手入れしてゆく。
何も足さない、何も引かない。
自然の摂理にじっくりと寄り添い、新鮮な森のエキスを抽出する神聖な作業。 森は人間が手入れすることにより、活き活きと輝きを増す。間伐材の枝葉などを再活用して採られる森の精油たちは、人間たちをはじめ自然界で生息する諸々にもやさしく、まさに「癒し」が凝縮されたもの。
エッセンシャルオイルの小さな瓶の中に、私たちが目指すべき「循環型社会」への大きな希望が詰まっている。変化し続ける時代の中でも持続してゆくことができる、人と自然の新しい共生のカタチ。
「贅沢な趣味」「お洒落なもの」と捉えられることの多いアロマや精油のイメージを払拭するyuica。
植物たちのピュアな香りが持つ 遥かな可能性を全身で感じた、素晴らしい体験でした。
専務の北川さま、貴重なお時間とお話を有り難うございました。
アロマテラピーに携わり自然を愛する一人として、これから先 自分に何が出来るかを模索してゆこうと思っています。
「森の案内人」北川専務 淡々とした語り口からも、 自然や木々たちへの愛情が伝わってきます |