2014年8月20日水曜日

夏の想い出2014 #2 〜日本産アロマの森『オークヴィレッジ』を訪ねて(前編)〜

 お盆休み、富山へ帰省した帰り道、ちょっと足を伸ばして高山の『オークヴィレッジ』へ立ち寄りました。前々よりずっと訪ねたいと思っていた理由は、大好きな日本産アロマ『yuica』の生まれた土地でもあるから。
 今年3月に大阪で開催された『アロマフェスタ2014』のyuicaブースで、現地で年に数回行われている「アロマツアー」のご案内をいただきとても興味が湧きました。神戸へ戻ってから何度も問い合わせスケジュール帳とにらめっこしながらも、子どもたちがまだ小さいことと、日程が合わなかった為ツアー参加は当分先になると思っていました。そんな時同じ敷地内に宿泊施設や自然体験プログラムがあると聞き、家族旅行も兼ね現地へ思い切って出掛けました。

*******

 オークヴィレッジの製品に出逢ったのは十数年前。上質なものを取り揃える『トアロード・リビングス・ギャラリー』さんを覗いた際、ステーショナリー、カトラリーなどの木工製品が展示販売されていました。
 中でも目を奪われたのは、どっしりとした木のテープカッター。プラスチック製のそれに飽き飽きしていた私は、圧倒的な存在感とぬくもりのある手触りの違いに驚き、魅了させられてしまいました。

オークヴィレッジ公式 ONLINE SHOPより
 
 環境保全に関する取り組みも、社会に対する企業姿勢や経営理念も、そして造られる木工品や家具も、すべて「本物だ」と思いました。でも社会人として働き出して日の浅かった当時の私には、それらの製品は時期尚早のような気がして購入出来なかったのを憶えています。

*******

 アロマを仕事にするようになってからしばらくして、良質な和精油があると耳にするようになりました。
 精油を用いたアロマテラピーの歴史は日本ではまだ浅く、海外での使われ方との違いも多々あります。
 「身土不二」の言葉があるように、日本の土地に根差した植物からの香りは、きっと外国産の精油よりも幅広く、日本の方々に受け入れられる。色々なブランドの精油と香りを試し普及活動を行ううちに、そう実感することが多くなっていたので、国産精油にとても興味がありました。
 『yuica』が、『オークヴィレッジ』の関連事業だと知ったのはついこの間のこと。「好きなもの」と「惹きつけられるもの」がつながった瞬間でした。


現地へ到着すると、敷地内を流れるきれいな川が目に入ってきました。そこここに眩しいほどの緑が溢れ、どんな体験が待っているのだろう?とワクワクします。しかしながら、降り続く雨に若干ひるむ私たち。車で走るには細めの道を「どっち?」「こっちかなぁ」といいながら奥へと入って行きました。

 最初にたどり着いたのは、オークヴィレッジのショールーム前。ちょうどサマーフェア期間中で、大雨にも関わらず家具を見に来場された方たちの車がひっきりなしに出入りしていました。

 イベントに来られた方々が楽しめるよう、入り口近くに色々なブースが用意されていました。そしてなんと「アロマのウッドチップ足浴体験コーナー」が!!
 精油を抽出した残渣(ざんさ)で足浴をするというものなのですが、これが出来るのは抽出所がすぐそこにあるからこそ。アロマツアーの中にも組み込まれていて、 いいなぁ、やってみたいなぁと思っていたのです。

 アロマフェスタでお会いした専務にご挨拶をすると、「今ならまだあたたかいから、やっていったら」と足浴を薦めていただきました。
 最初、枝葉が見てわかるそこへ「えっ、この中に、足を入れるの?」と戸惑っていた様子の子どもたちですが、いざ体験してみると。。。「あったか〜い」「いいにおいがする!」とかなり気に入った様子。年中冷え性の私も、何だかぽかぽかして体全体の血液循環がよくなった気が。
 足浴を終えた後も、さらさらとした感じが心地よく、チップ内にわずかに残っているであろう精油成分をしっかりと感じました。


 スタッフの方に宿泊する旨を伝えると、敷地内でもショールームの反対方向にある「オークヒルズ」に宿泊施設があるとか。すごく広いなぁ〜
 上の子が木工体験プログラムに参加することになっていたため、急いでそちらへ。

*******

 『OV森の自然学校』は「森」をキーワードとする様々な環境教育プログラムを実施されているところ。子どもたちが自然を体験するイベントが開催されたり、本格的に職人を目指す方々の職業訓練施設にもなっています。


 中でも人気の「木工クラフト体験プログラム」は、「森の宿」に宿泊した人向けの土・日開催のミニセミナー。スツール作りをしたい!と志願した息子は、通称「ひげ先生」の指導の元、週末木工修行へ(笑)。

 後で分かるのですが、寡黙でやさしい雰囲気の「ひげ先生」は、このオークヴィレッジ創設当時のメンバーのお一人。1974年に荒れ地だったこの地を開墾、農家の納屋を借りて家具造りを始められた職人の方でした。
 じっくり、しっかり…「巧の技」をマンツーマンで指導していただけるなんて本当に貴重な体験。カンナやヤスリ、クサビなどの職人道具に触れられる機会も都市部ではそうありません。

 私たちは下の子を連れ「森の宿」へチェックイン。荷物をほどいて、お風呂へ。森の緑が見える大きな窓、ヒノキの浴槽。そして中のお湯は精油を抽出した後に残る「アロマウォーター」!


 「水蒸気蒸留法」と呼ばれる精油抽出法で、採油した後の水分を「芳香蒸留水」と言います。別名「フローラルウォーター」とも呼ばれますが、ここでは樹木の精油がつくられているため、さしずめ「ウッディーウォーター」といったところでしょうか。なんて贅沢☆
 真夏とは思えない程涼しく、クーラーなんて必要ない(実際にない)お部屋でゆったりと寛いでいると、修行の前半を終了した上の子が帰ってきました。「めっちゃ面白い!」と興奮ぎみに、色々とスツールづくりにまつわる話を聞かせてくれました。

お夕飯は「森のレストラン」にて。こちらではお食事の美味しさに感激。自家菜園で収穫されたいんげんやズッキーニ等のお野菜は本当に瑞々しく、味わい深いもの。コロッケや海老フライなどもありましたが、こんな美味しいバイキングは初めて♬

 お料理されていた方々のおもてなしの気持ちは勿論、澄んだ空気と水の綺麗さ、土壌の豊かさが味覚を通して伝わってきました。

 食べ終えた子どもたちは早速、上の階にある「絵本&おもちゃコーナー」へ。私たち大人は地ビールやワインなど愉しみながら、時々様子を覗きにいったりしました。


 ああ、なんて素敵なのでしょう。当然、子どもたちは大喜び。他の宿泊客のお子さんたちとも意気投合したらしく、一緒に楽しく遊んでいます。

 奥には大人向けの蔵書コーナーもあり、オークヴィレッジ創設当時に発行された本や、自然環境保護に関する書籍、セラピー関連のものもありました。


 窓から覗く深い緑も、控えめに施されたダウンライトも、夏の夜を味わうためにあるかのような場所。親切なマダムの「貸し出しもできますよ」とのお言葉に甘え、何冊もお部屋に持って帰りました。


 外はまだ大雨。雷が鳴り響き、大丈夫かなぁと心配になりつつも
寝静まった子どもたちの寝顔を見ながらしあわせな読書タイム。
ゆっくりと夏の夜は更けていきます。

〜後編につづく〜

※この記事を書いた後、日本各地で集中豪雨による災害が相次ぎました。被災された方々に心よりお見舞い申し上げます