2016年3月7日月曜日

モノ選びの基準3 アロマフェスタ2016

 3月。
 桃の節句、今年は娘と一緒に焼いたケーキ。
 オーブンから漂うバターの香り。
 甘酸っぱいイチゴは、春を待つ気持ちを加速させる。

 
 一年ぶりのアロマフェスタへ。
 今回のテーマは2つ「オーガニックなハーブガーデン」と「バラの香りの美学」。セミナー会場はいつものように、満員御礼。
 

 植物に言えることは、人間にも当てはまる。免疫力を高める環境づくりや、その土地にあったものを育てる「適地適木」、病害虫への耐性の心配がないという生薬農材の説明など。当たり前のようで忘れがちなことが何より大切だという内容に、大きく頷く。


 ローズ関連の場所には、熱心に話を聴く方が多数。
 ハーブ系やウッディー系の香りが好きでも、花精油は気分を高めてくれる大切なアイテム。春が近づくと ふぅわり香り立つフローラル系の魅力が、より際立つ気がする。


 アロマ=精油のイメージは根強いし、確かにピュア&ナチュラルな精油を使用することがアロマセラピー(テラピー)の定義なのだけど。
 私はこんな仕事をしている今も 自然そのものの香りにかなうものはないと思っていて、あえて「精油」の香りをまったく嗅がない期間がある。頭で理解することと肌で感じることの 両方のバランスを大切にするために。
 植物そのものが発する香りと精油になった時の香りは完全に同じではないし、育った環境や生きてきて得た自分の中の感覚は 学んできた理論云々よりも確かだったりする場合があるから。


 今後の参考資料として、バラの香気成分が詳しく記載された冊子と、バラにまつわるエピソードが載せられた書籍を購入。専門書(入門書?)は愉しい。
 こんなに!と思う品種。薔薇好きの生徒さんの顔と、満開のローズガーデンが思い浮かぶ。いつも楽しみにしている「咲きました」の写真たち。
 
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 その後 頼まれていたものがあったためセール会場へ。たくさんの人、たくさんのブース。以前に増して和精油の取り扱いが増えていることに驚く。

 賑わう会場の隅に、ひっそりと佇む展示パネルを見る。
 精油のもたらす作用についての実験結果と考察など。
 効能が多様であるからこそ、さまざまな方面からアプローチが出来る。
 でもその結果が受け入れられているのは、未だほんの僅かな範囲でのみなのかも知れない。



 yuicaのブースへ立ち寄り、高山スタッフの方々に挨拶する。

  「ついさっき、咲いたんですよ」


 
 ひと足早い春を告げるニオイコブシの花。
 ここ数日の暖かさと 会場の熱気で開いた蕾。
 
 抽出所に足を運び、携わる人たちに出逢い、自然界の香りの深さと未知数の可能性に触れて どのくらい経つだろう。

 この世界に入って色々な側面に遭遇する度、立ち止まり、今いる場所を確認する。だからなかなか前に進まないけど、生活者の視点と消費者の感覚を見失わないように、ずっと大切にしたいと思う。
 社会の一番小さな単位が「家族」であるように、経済の最小単位は「個人」。私たち一人ひとりの選択が、明日を支えているのだから。
 

 
 価値ある消費は未来への投資。
 無駄にしていい資源はきっとない。
 ほんとうに必要なものは、心から大切にしたいもの。

 各ブース 溢れかえる程に並んだ精油とその関連製品を眺める。

 造り手と使い手の想いをつなぐこと。
 よりよいものを選び きちんとした形で伝えること。
 そして、自ら創造的であること。

 それが自分の仕事なのだと 改めて実感する日。


 鈍色の空に 辛夷の蕾たち。
 見上げると ところどころ開いている。
 満開の春まで、あと、少し。