2016年6月17日金曜日

雨好きのものたち

雨の匂いがする
グリーンがひときわ恋しくなるのは
いつもこの季節
窓辺に置く緑が欲しくてお気に入りのお店を覗く


元気なユーカリに目がいく
大きなぺんぺん草のような葉の
水玉模様がたくさん広がっている


ピンク色のつぼみ
白いお花
濃紫の実のビバーナム
 「うちに来たい?」と尋ねるとうなずいた気がしたので
この子に決める


雨の日曜日
思い立って少し遠くのフラワーショップへ


 「大きくなりましたね」
少しシックになった店内は
ドライとフレッシュの入り交じった香りがする


以前植え替えてもらった小豆島のオリーブや
ベランダに置くグリーンの相談をする
子どもと一緒にお茶をしながら
ゆるゆると癒されるひととき

6月の雨は特別
緑色が日に日に濃くなるのを感じて
雨がひときわ好きになる


陽射しの下にいるよりも
俄然色味を増して美しい
雨粒がしたたる紫陽花たち


梅雨の合間の曇り空には
すべての輪郭がぼやけて
時間も場所も曖昧になる


近くにある公園で
絵画の中に迷い込んだ一瞬
ミレーの描いた水面のようで
思わず目を凝らす


雨上がり 道端で匂い立つクチナシの花に出逢うと
必ず足を止めてしまう
ミルクセーキのようなにおい
子供の頃に好きだった
とろりと甘いのに、どこかさっぱりとした香り
開ききる前の花弁に顔を近づけて
繁雑な時間を忘れる


何処へ向かうということもなくうろうろと歩き
そこここにある植物たちの息吹に呼吸を合わせる
よくそんなことをしていた
そうすれば自分も自然の一部となるということを
幼い頃に教えて貰ったような


吹き抜ける風に
気持ち良さそうに葉を揺らす木々たち
カタツムリやカエルの気持ちも
少しだけ分かる気がする
もうすぐ、夏がやってくる