2014年11月12日水曜日

ホームメイド・ヒーリング〜パン教室と北の椅子と〜

  ホームメイドは愉しい。
 家族のバースディに、久し振りにケーキを焼きました。ちょっぴり苦いガトーショコラ。ペパーミントがなかったので、ベランダのレモンバーベナを添えて。
 子どもたちにはもう少し甘めがよかったかなと思いましたが、生クリームがあったので大丈夫だったよう。焼きたてもいいけど、次の日の方がしっとりして味わい深い感じ。

 ハロウィンにはお遊びでクッキーづくり。週末の朝子どもたちとワイワイいいながら一緒に型抜き。下の子はお顔のスタンプがいたく気に入ったようで「カボチャのおばけさん、する〜」と何度も押してくれました。微妙に目と口が中心からずれていますが、それもご愛嬌(笑)。

 日々の食事づくりは手元にある材料で何となく作ることが多いけど、お菓子づくりは別。あれこれ材料を買い出しにゆくのも愉しいし、部屋中にたちこめる甘い香りがしあわせな気分にしてくれて、イベント(お誕生日とかクリスマスとかパーティーとか)があるときは特に、それらを理由に何か作りたくなります。

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 しかしパンづくりだけは…したことがないのです。どうにも発酵させる時間が不安。途中で子どもに「ママ〜」とぐずられたり、何か急用が入ったりして中断されては、それまでの労力が水の泡になってしまう!きっと立ち直れない。
 周囲に美味しいパン屋さんがいくつもあるしと、言い訳しながらホームベーカリーすら購入する機会を失い、今日に至っていました。

 そんな私ですが先日、思い切って天然酵母のパン教室に出掛けてきました。
 きっかけは、以前友人たちと子連れランチをしたカフェでパン教室が開催されており、その日そちらで何気なく買って帰った「おひまるパン」さんのパンが、とても美味しかったから。


 天然酵母のパンは時々購入するものの、すごく酢っぱかったり、硬かったりして家族はあまり食べてくれない。身体にやさしいし、酸味も旨味のうち…なのですが。
 でもこちらのパンをおやつに食べた娘がニコニコして「このパン、おいしいね〜」と言ったのでびっくり。少し私もかじってみると、すごくやさしいお味。もちっとして、噛みごたえも程よくて、もぐもぐ頬張るとしあわせな気持ちに。
 
 月によってはすぐ満席になる人気のパン教室。その後問い合わせてみたら、運良く予約が出来ました。
 
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 「北の椅子と」さんは、お隣の兵庫区にある北欧のビンテージ家具や雑貨を取り扱うショップ。兵庫運河沿いにありちょっと隠れ家的?なところですが、ご近所の方々に愛され、広い駐車場もあるので 遠方から訪れる方もたくさんいるよう。


 2階に併設されているカフェが何とも素敵で、私もドライブがてら子どもと一緒に来たり、読みかけの本や資料を片手に一人で伺ったりしています。キッズメニューなどフードが充実していて、きちんと手作りされた美味しいお食事がいただけるのも嬉しい。


 時間より少し早めに到着すると、にっこりと店主の服部さんが出迎えてくれました。「よかったらどうぞ〜」。
 入り口には椅子とグリーンを組み合わせたディスプレイ。さりげないけれど、遊び心のあるセンスが感じられます。

 教えてくださるのは通称「エミシ」先生。「何でも聞いてくださいね」親しみやすく自然体、先生の素敵な笑顔に、パン教室デビューでちょっと緊張していた気持ちもほぐれてゆきました。

 写真は先生が予め作って来られた一次発酵済みの生地。もちもちの見た目もさることながら、なんていい香り!!!


 懐かしい…何かの匂いに似ている…と思っていたら「酒粕だ!」「そうだ そうだ♡」参加者の方と顔を見合わせて笑いました。
 発酵って不思議。腐敗する過程でもあるのに、この香(かぐわ)しさ。すーっと鼻腔を通り、肺を満たし、一方ですとんと胃に落ちるような(笑)。


















 分割して、丸めて、ほらこんな感じで。手早く成形する先生の手元を眺めながら私たちもトライ。ほっこりするまぁるい形は、作っていても嬉しくなります。途中「お餅つき」の話題になり、四国出身の方と北陸出身の私で、丸餅・角餅の違いの話に花が咲きました。


 年末のとても寒い日、つきたてのお餅を大きなバットに敷き詰めていた祖母の後ろ姿。雪のように真っ白なお餅から ほわほわと湯気があがるのが面白くて、いつまでも見つめていた幼いころ。
 懐かしい香りが一瞬にして連れて来てくれた 過ぎ去った時間、大切な想い出。そして今、家族の喜ぶ顔が見たくてパンを丸めている私がいる。


 オーブンで焼き上がるまでの待ち時間、酵母のおこし方も教わりました。先生特製の酵母エキスが入った瓶の蓋を開くと、ぽんっと大きな音が。生きて呼吸する、元気な姿!

 憧れのレーズン酵母。酵母エキスをつくるところから教わることが出来て感動です。


 酵母の種類に関しても色々と教わりました。「イースト(菌)」と「イーストフード(添加物)」は名前が似ているものの、まったく別物だそう。
 似て非なるものという点で「エッセンシャルオイル(精油)」≠「アロマオイル(人工香料)」と一緒だなぁと思いました。


 酵母をおこし、各自で材料を計量し混ぜ合わせ、生地をこねるところまで実践。こんな風にするといいですよと適時アドバイスがあり、とってもありがたい。
 きっと無心になりこねる作業 それ自体がヒーリング。ひたすらこねてこねて大変だと思っていた作業も、愉しくて夢中になって。いつの間にか持ち帰り用の生地が完成。


 こんがり焼き上がったパンと、カフェ特製のスープでランチタイム(この日はバターナッツかぼちゃのポタージュでした)。どっしりと重く、外はカリッと、でも中はモチモチ。湯気の上がる焼きたてパンとあたたかなスープ…なんてしあわせな時間でしょう。


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翌日教わったことを思い出しながら、持ち帰ったパン生地を成形しオーブンで焼きました。朝の光を浴び、天板に並ぶ姿が愛おしい。


  「いいにおいだな〜」家族にも大好評。あぁ、ちゃんと焼き上がってよかった(笑)


朝、キッチンから漂う焼きたてのパンの匂い。
平日はとても余裕はないけれど、週末なら。
ライフワークのひとつにゆるゆる加えてゆけたらいいな。
ニコニコ頬張る子どもたちの心の片隅に
「家族の時間」が、香りと共にそっと刻まれることを願って。