2014年9月9日火曜日

スペシャリストとしての姿勢〜「アロマテラピーと一次予防を考える」AEAJ専門セミナー参加〜


 所属する日本アロマ環境協会(AEAJ)の主催する専門セミナーへ行ってきました。専門的な「いま」の情報が聴ける年一回のセミナーには毎年必ず参加しています。
 なので超苦手な(笑)人混みを我慢して、残暑厳しいなか大阪へ。開催21回目となる今回は、特に今注目を浴びている先生方が講演されるとあって、いつにも増してたくさんの聴講者。
 先月東京で開催された際には1000名、大阪でも700名を超えているとか。たしか定員は600名のはず。。。早めに申し込んでおいてよかった〜。

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 前半は、「精油の香りによる自律神経と生理機能の変化」をテーマに大阪大学名誉教授の永井克也先生による講演。「アロマテラピーは偽薬(Placebo)効果によるものであり、信じるから効くのだ」とのご自身の概念が、研究により大きく変化したという内容を具体的事例と共に発表されました。
 確かにスピリチュアルに捉えられることも多い「香り」の効能ですが、それは本能と密接に関わり、私たちの生体に影響を及ぼすことが多いからこそなのでしょう。
 
 ご存知の方も多い「グレープフルーツの香りはダイエットによい」「ラベンダーの香りはよく眠れる」などの事例を科学的データに基づき より具体的に掘り下げた研究報告は、専門的でありながらも身近なものとして興味深く拝聴しました。
 最近よく耳にするようになった「冬期うつ病」についてや、「体内時計」と香りの匂い刺激・ヒスタミンとの関係性など貴重な話がたくさん聴けました。
 中でも「匂いの効果は休息期である夕方〜夜間の方がより期待出来る」というものは「そうなんだ!」と目からウロコの情報で感激しました。


 講演途中で「あれ?この内容、どこかで聞いたことあるような」と思いました。そして、良質な情報が気に入り定期購入しているアロマ専門誌に、同じ方による研究レポートが掲載されていたのを思い出しました。
 文字だけで頭に入れていた知識が、声と映像と共に思いがけずもう一度中に入ってきて、より理解が深まりました。

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 後半は「精油による認知症の予防」をテーマに鳥取大学医学部教授・日本認知症予防学会理事長の浦上克哉先生が講演されました。
 テレビの健康番組などに出演されとても有名な方ですが、実際に拝見した浦上先生は終始やさしく穏やかな口調で、「こんな先生が主治医だったら安心してお任せ出来るだろうな」といった印象を受けました。


 知っているようできちんと知らない「認知症」。それには色々な種類と症状があり、「アルツハイマー型」が7割を占めることを初めて知りました。
 正常な方の「単なる物忘れ」と、認知症の方の「病気による物忘れ」の違いと見分け方。アルツハイマーはなぜ起きるのか、ということから、どのように治療していったらよいのか、という具体的な内容までを誰にでも理解しやすいよう噛み砕いて解説されました。

 嗅神経が障害されて、次に海馬(記憶を司る部分)の神経が障害されるため、
①初期で嗅神経を効果的に刺激できれば ②嗅神経の再生を促して ③認知症の予防ができる可能性が考えられる
 という研究結果に、再生機能が高いという嗅神経の凄さと香りの可能性を改めて感じました。

 また「人工的に化学合成された香りでは、同じ成分を含むものでも効果は期待出来ない」という話には大きくうなずけるものがありました。
 植物たちが生み出す「天然の香り」が持つ力は人間が作りだすものを遥かに超えているのだ、と改めて感じます。最新の技術を駆使しても、未だに光合成のメカニズムを真似することができないように。自然界の一部である私たち人間は本当に小さい。

 何のために、医療はあるのだろう?

 拝聴している途中、ふとそんなことを考えました。
 やはりそれは、自分が、家族が、大切な人たちが「生きている喜び」を実感し、「笑顔」を取り戻すためのものであって欲しい。
 そして「近代医療」の足りない部分を補う「補完医療」「代替医療」として、今後アロマテラピーが果す役割はどんどん大きくなってゆくだろう…という予感がしっかりと心の中に刻まれました。

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 今年の夏に「ピアノ&カフェコンサート」で香りの演出をさせていただきました。事前にピアニストやスタッフの方々に、どんな香りにするか 好みや希望などお伺いしたのですが「香りのことはよく分からないので、専門家にお任せします」と言われました。


 それは非常に光栄であると同時に、すべて任されるということ。準備万端で当日を迎えたものの、本番はかなりナーバスになっていました。約3時間のコンサートが無事終了した時は、心からほっとし疲れがどっと押し寄せてきました。

 でもその後、たくさんの方から嬉しいご感想をいただきました。「さりげなく香ってきて、とっても気分がよかった」「アロマって、すごくよいものですね!」「プロのブレンドは調和が違う」などなど…有り難いお言葉に感謝です。
 そして主役であるピアニストの柳瀬さんからは「良い香りって身も心も本当に癒されますね。素敵な演出をどうもありがとうございました。こんな貴重な演出はコンサートではめったに無いですよ」とのメッセージ…やらせていただいて、本当によかったと思いました。
 経験を重ねながら、程よく緊張感を楽しめるようになるのも、これからの目標です。


 香りで癒す「スペシャリスト」として学ぶことはまだまだたくさんあり
日々更新される専門的な情報と、正しい知識を持つことの重要さを感じる。
 
でもその一方で、「生活者」としての視点を忘れずに大切にしてゆきたいとも思う。
 植物から生まれた精油が持つ香りや効能の素晴らしさも、実際に使ってこそのもの。
 何を、どれだけ、どんな風に使用するとよいのか?
アロマテラピーが日々の生活に無理なく溶け込むよう、安全面にも充分考慮しながら
たくさんの方々にその魅力を伝えてゆきたい。

 このblogももうすぐ3年目に突入(はやい!)、思いを新たにした9月の始まりでした。