2016年5月24日火曜日

モノ選びの基準4:メンテナンスという考え方


私事ですが、今年に入ってすぐに自宅のリフォームをしました。
壁のカビやその他諸々の劣化が気になっていたことが一番の理由ですが、家族の生活スタイルの変化を機に家のメンテナンスを行いました。


すべての壁を珪藻土塗りにすることが最優先で、出来るところは自分たちでも塗りました。プロの左官さんが塗ってくれた美しい仕上がりには到底かなわないけど、自分たちの住まいを造るプロセスを家族全員で味わえたことが何よりの思い出。

念願だった自然素材の珪藻土は、ほんのり磯の香りがする…
「藻」だから、なるほどという感じもします。
それは決して嫌なにおいではなく、むしろ「在るべき場所に還って来た」ような懐かしくほっとする香り。



お世話になったのはWISHさん。
北野にあった頃からずっと親しくさせていただいていて、リフォームだけでなくインテリアの相談に乗っていただくこともある頼もしい存在。
東灘に移られてからは頻繁に足を運べなくなりましたが、以前と変わらず丁寧なやり取りでこちらの要望を汲み上げ イメージを形にしていただきました。


5月のある日「フェアトレードマルシェ」をされると聞き伺うと、ナチュラルで素敵な展示がずらり。チョコレートやコーヒーは勿論、ストールなど身につけるものや食器まで…。紹介されていた京都「SISAM工房」さんは、作り手に敬意を持ち環境を大切にしながらモノづくりを支援する姿勢に好感が持てます。

*******

オーナーの今井さんご夫妻によると、フェアトレードという言葉や考え方は日本ではまだ浸透しきれていないよう。ファストフード同様ファストファッションが当然の風潮になっている現状に、社会のゆがみを感じてしまう。
かくいう私も流行をチェックするのは好きだし、新しいものに心ときめく感覚はずっと持ち続けたい。価格も大切。でも、日々すごいスピードで更新されるものばかりが生活の中心になってしまうのは…何だか空しい。


例えば休日の朝に淹れるコーヒーをフェアトレードのそれに替えてみる。窯元でつくられたお気に入りのコーヒーカップに注いで、やさしい味わいと香りを愉しむ。

選ぶものは、それを手にする自分と家族が心豊かになれるものを。時にはきちんと手入れをしながら、ずっと大切に使っていきたいと思うのです。


そんなことを考えていると、素敵な出逢いがやってきました。これと思うものが見つからず何ヶ月も前から探し歩いていたカレー(やハヤシライスやシチュー)用の楕円のお皿を発見!


北欧風のデザインで、藍色のシンプルなものは意外にも有田焼。職人さんによる手描きの為にひとつひとつ絵柄が異なるのも味わい深い。
「どの柄がいい?」
子どもたちと相談しながら選んで持ち帰り、その晩の食卓には早速このお皿が登場したのでした。


時を経る程に美しく、味わい深くなることができるもの。
自分自身もそうありたいと願う気持ちも重なって
何年も使い込み愛着が増した姿を想像するのも愉しみの一つ。

一緒に歳をとる、というと大げさかもしれないけど
モノ選びの軸はいつもそこに行き着くような気がする。


学生時代ひとりで旅したボストンの風景。
道端の小さなギャラリーから大事に連れ帰った絵が
今は家族とともに時を刻んでいる。
綺麗になった壁に飾ることが出来て、よかった。