2016年6月24日金曜日

ボタニカルアートと京の香り〜東と西が出逢うとき2〜

京都に魅了される方は多い。
「京都通」の方が紹介する記事は面白く、いつも見入ってしまう。
ただ。
街が大きくて、神戸よりもはるかに人が多い京都は
少し苦手意識があってなかなか足を運べない。


でも。
古都の魅力にはあらがえないものがあって、
あの場所へ行ってこれを観たいとか
ここでこれを買えたらいいなぁとか
思うことが多いので、それらを
あらかじめインプットしイメージをストックしておく。


そして祇園祭で賑わう前
蒸し暑さも本格的になる前の
落ち着いたこの梅雨の合間に…
ささっと行きたい場所を訪れるのが
私流?京都の愉しみ方。



しんとした店内に入る。
綺麗に並んだ和菓子たち。
「いらっしゃい」とにっこりされると
別世界に来たようで嬉しくなる。



 目にもすゞやかで、上品な琥珀流し。
6月はいつも梅酒の味。
久し振りに味わう つるりとした食感。
季節感溢れる至福のひととき。


この簡素で美しい中庭を眺めながら
訪れる場所を再確認。
ほろ酔い気分で、さぁ出陣。


 ずっと行きたかった「京都文化博物館」。
倉敷の大原美術館のように、博物館や美術館は趣のある建物が好き。



「英国キュー王立植物園のイングリッシュ・ガーデン展」が開催中だったのは、
急いで来た理由のひとつ。
昔からボタニカルアートが好きで、カレンダーやポストカードを部屋に飾ったり。
写真もいいけれど、絵になったときの植物はまた別の魅力がある。


同時開催の特別展「江戸の植物画展」も素晴らしく、
時を経ても色褪せない、その鮮やかな色彩に目が釘付けに。

時間を忘れてたっぷり鑑賞したその後は、少し館内を散策。
面白いのは店舗街が併設されていること。


和紙や和小物を扱うお店。
仕事で使用するアイテムを探す。
大きなロール和紙のメートル売りにびっくり。


ずらり並ぶペーパーアイテム。
「決まりましたら、レジまでどうぞ。」の貼り紙。
一枚いちまい心ゆくまで見比べる。
紙好きにはたまらない。


たくさん欲しい気持ちをぐっとこらえ、必要なものを吟味。
「おおきに〜、またどうぞ。」
そう言われて、あぁまた来ますと思う。

こちらは可愛い和風カフェ。
聞けば先月OPENしたばかりだとか。

かわるがわるお客さまが来られて
ランチも、スイーツも魅力的。
とろ〜りとした食感が美味しいひやしあめは、甘さ控えめで飲みやすい。
生姜を自分で擂り下ろしていただく。


お土産にころんとした飴玉を購入。
色とりどりで、おもちゃの宝石みたい。


さりげなく、でも美しく着物を着こなす方に普通に遭遇するのも京都らしい。


 一番の目的。
お香の老舗「松栄堂」さんの本店へ。
色々と勉強はしていったものの、少し緊張。


さまざまな形のお香に芸術的な香炉。
高価で手が出ないのでは?と心配だったけどそんなことはなく
ここでもまた、時間を忘れて香りや器と向き合う。

白檀や沈香、伽羅といった香木の香りを聞きながら色々と教わることが出来たのも
お店の奥に綺麗な和室がちらりと見えたのにも
老舗の風格が感じられて、折に触れ通う事が出来ればいいなと思う。

侘び寂びの世界は、行き届いた手入れと
根底に流れる美意識が成せる技。
「足るを知る」という
本当の豊かさを垣間見た瞬間。

トンボ帰りの京都。
じっくり腰を据えて着物で巡り歩くのは、もう少し先の愉しみにするとして…
和菓子やら図録やらを抱えて、ふらふらになって帰還。
でもその価値は充分あったかな。


「香りにまつわる」諸々のアイテムは、この夏のレッスンでご紹介。
どうぞお楽しみに。


2016年6月17日金曜日

雨好きのものたち

雨の匂いがする
グリーンがひときわ恋しくなるのは
いつもこの季節
窓辺に置く緑が欲しくてお気に入りのお店を覗く


元気なユーカリに目がいく
大きなぺんぺん草のような葉の
水玉模様がたくさん広がっている


ピンク色のつぼみ
白いお花
濃紫の実のビバーナム
 「うちに来たい?」と尋ねるとうなずいた気がしたので
この子に決める


雨の日曜日
思い立って少し遠くのフラワーショップへ


 「大きくなりましたね」
少しシックになった店内は
ドライとフレッシュの入り交じった香りがする


以前植え替えてもらった小豆島のオリーブや
ベランダに置くグリーンの相談をする
子どもと一緒にお茶をしながら
ゆるゆると癒されるひととき

6月の雨は特別
緑色が日に日に濃くなるのを感じて
雨がひときわ好きになる


陽射しの下にいるよりも
俄然色味を増して美しい
雨粒がしたたる紫陽花たち


梅雨の合間の曇り空には
すべての輪郭がぼやけて
時間も場所も曖昧になる


近くにある公園で
絵画の中に迷い込んだ一瞬
ミレーの描いた水面のようで
思わず目を凝らす


雨上がり 道端で匂い立つクチナシの花に出逢うと
必ず足を止めてしまう
ミルクセーキのようなにおい
子供の頃に好きだった
とろりと甘いのに、どこかさっぱりとした香り
開ききる前の花弁に顔を近づけて
繁雑な時間を忘れる


何処へ向かうということもなくうろうろと歩き
そこここにある植物たちの息吹に呼吸を合わせる
よくそんなことをしていた
そうすれば自分も自然の一部となるということを
幼い頃に教えて貰ったような


吹き抜ける風に
気持ち良さそうに葉を揺らす木々たち
カタツムリやカエルの気持ちも
少しだけ分かる気がする
もうすぐ、夏がやってくる