2017年2月13日月曜日

営みの生まれる場所 Satoyama landscape

すっきりと晴れた空
冬真っ盛りの日曜日。

北区にある、あいな里山公園へ
落ち葉拾いのお手伝いに。



木々たちの隙間から
眩しい朝の光が差し込む。

軽くてぴかぴかの熊手を借り
おおきな袋を受け取って
持参した軍手で落ち葉掻き。

うっすら残る雪
ざっざっという音

枯れた葉っぱと湿った土の香りがひろがる。


スマホの電波が届かない
テレビもラジオもない場所で
澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込む。



こんなことを言うと変に思われるかもしれないけど
時々、自分は植物なんじゃないかと思うときがある。

動物よりも植物に近い感覚があって
木々たちや、ひっそりと咲いている野草たちに
すごく親近感を覚えたりする。



フキノトウやつくし、山菜なんかが普通に身の回りにあるような
石垣の隙間からスミレの覗くような田舎で育ったせいかもしれない。
実際は人間なのだから光合成もできないし
おとなしく ずっと同じ場所にいることもできないのだけど…。



「結構、きれいになったね!」

作業を終えて足元を見ると、緑色の苔や草や新芽。
落ち葉の毛布であたためられて、外からは見えない部分で
こんな風に新しい命が生まれているのだと気が付く瞬間。


皆で集めた落ち葉は、地元の農家さんが堆肥として活用するのだそう。
軽トラックにどっさりと積まれた、植物からの贈りもの。


生きることは
つながり合うこと

互いに無理の無いカタチで
緩やかに循環することは

さまざまな生き物に
たくさんの豊かさをもたらすのだと思う



「伝庫の家」に移動して
里山作業を体験する。

ナタを振るうことも
かまどでご飯を炊くことも
都市生活では出来ない経験。

最初は恐るおそる、でも
慣れて来ると面白い。



作業後、ここで収穫されたお米でお粥をつくり
切り干し大根、切り干しかぶ、蒸かしたジャガイモをいただく。
どれもとても美味しくて、やさしくきれいな味がする。


お椀の後片付けをしていると
話し声が聞こえてくる

「この割り箸、どうします?」
「あぁ、そこで燃やすからいいよ」

捨てる、という言葉がなくなると
なんて気分がよいのだろう

焚き木の中で燃やされた割り箸はきっと
訪れる人たちをやさしくあたためてくれる

循環も、思い描く未来も、与えられるものではなく
自分たちで創り出すもの

人がつながり、思いがつながり、新しいカタチが生まれる


茅葺き屋根も、おくどさんも
「日本昔話」や「民話」を知らない今の子供たちの目には
珍しく真新しいものとして映っているのかもしれない

資料館ではなく、植物園でもなく
つくったり育てたり、収穫したり
実際に作業して体験することができる場所

なんか、面白そう
ちょっと、行ってみたい
それがきっと 入り口になり
そこからきっと 流れが生まれる

手入れをする人たちがいて
さまざまな生き物たちの多様性が保たれながら
皆が集い、つながり、営みが生まれる


始まったばかりの物語
いまから、ここから


国営明石海峡公園神戸地区
あいな里山公園
〒651-1104
神戸市北区山田町藍那字田代